2017年10月13日金曜日

サスティナブル地域公共政策ネットワーク(人環SCD)について

サスティナブル地域公共政策ネットワークについて
(通称、人環SCD ”Sustainable Community Design”)


人環SCDゼミは、
法政大学の人間環境学部卒業生の中で、広くまちづくりや地域の社会課題について考えたい人たちが集まる、楽しくゆるいつながりです。

私達は、人環を卒業したOBOGの間で学び直しやネットワーク構築の機会をつくっていきます。
 1:持続可能で活力ある地域社会になるために現場での手法や実務を学びます(耳学問)
 2:人環卒で地域の課題解決に関わる人の相互ネットワークを構築します(共助)
 3:人環卒の学生・卒業生で、地域に関わる仕事をしたい人や地方公務員を目指す人への情報提供(人材発掘)


現在は春夏秋冬(年4回)、市ヶ谷キャンパスで自主的なゼミとして開催。外部から人を招いて講義をいただいたり、他のメンバーと意見交換や、注目すべき場所へのフィールド・スタディなどの活動をしています。また、年に一度(冬)は人環の地方公務員に興味のある現役学生向けの意見交換会も実施。毎年多くの方に参加していただいています。

<今までの内容>


日程
プレゼンター
テーマ
21
2017年
7月22日
元大泉町総務部長
岩瀬寿夫さん
「群馬県大泉町における多文化共生社会の取り組み」
岩瀬さんは2年前に群馬県大泉町を定年退職され、現在は人間環境学部に在学中の社会人学生です。なお、大泉町は全国で最も外国人比率が高い町です。
20
2017年4月22日
㈱東京・森と市庭  菅原和利さん
「奥多摩での活動から見る行政」
菅原さんは人間環境学部の卒業生(2010年卒)であり、現在は奥多摩に住みながら東京の森と都市をつなげるための活動をしています。
19
2017年
1月21日
毎年恒例!公務員志望の就活相談会
18
2016年12月3日
(ブレスト)
①SCDの内容や運営でもやもやしていること(問題)
②SCDでやれたら面白そうなこと(やりたいこと)
17
2016年
8月20日
横浜市都市デザイン専門職
建築デザイナー 野田恒雄さん
2014年から、兼職で横浜市都市デザイン専門職
TRAVELERS PROJECTでの「冷泉荘(’06.4.~’09.3.終了済)」や「紺屋2023(’08.4.~’24.3.予定)」等の建物再生企画・運営について
16
2016年
5月21日
相模原市環境経済局 産業政策課 渡辺誠治課長
企業支援の極意(農産物のブランド化、相模原のペットボトルウォーターやロボット導入支援センターについて)
15
2016年
1月30日
国土交通省 国土交通政策研究所 小岩さん(小田急電鉄より出向)
第一部:公務員志望学生の就活相談会
第二部:小岩さんより、地域公共交通確保維持に向けた課題(バス事業を中心に)について 
14
2015年
10月25日
※外部プレゼンター
横浜市都市整備局 都市デザイン室 桂有生さん
【横浜みなとみらいエリアのフィールドスタディ】
みなとみらい農家朝市の見学。コミュニティサイクルの ”ベイバイク”の試乗。都市デザイン室の桂さんから、景観調整や歴史的建造物を活かしたまちづくりについて、説明を聞きながら街歩き。 
13
2015年
8月29日
相模原市 まちづくり計画部リニア対策課 大橋さん
内閣府への出向報告。内閣府・内閣官房にて地域活性化推進室、首都圏地方連絡室に配属。都市計画等の特例(容積率、税制等)や、地方創生を推進するための特区計画の認定や補助金の交付等を行った。
12
2015年
5月16日
市川市 都市計画道路課 亀村さん
自治体経理の基礎
11
2015年
1月24日
西東京市市民部納税課
 古川さん(幹事)
第一部:公務員志望の就活相談会
第二部:人環SCD グループワーク
    「突破せよ!若手公務員のカベ」
10
2014年
10月17日
古河市役所 市民税課 
 知久さん
市役所窓口の税務課
 〜税証明発行や軽自動車税、窓口での対応〜
9
2014年
7月12日
茅ケ崎市役所 秘書広報課 松谷さん
茅ヶ崎市の広報
8
2014年
412
板橋区選挙管理委員会 築澤さん
選挙管理委員会事務局の仕事~選挙の裏側大公開~
7
2014年
1月23日
狭山市 高齢者支援課
 岩渕さん
狭山市の高齢者事情 〜高齢者対応について〜
※同日に特別企画
○学生との連携プロジェクト企画第二弾~現役学生とのグループトーク
6
2013年
11月9日
相模原市 産業政策課
 竹内さん
相模原市の産業政策とラオス出張報告
5
2013年
7月27日
※外部プレゼンター
法政大学 人間環境学部 石神教授 
石神先生の特別講義「巨大な隣国 中国について」
4
2013年
4月20日
横浜市 こども青少年局  遠藤さん
横浜市の待機児童対策について
※同日に特別企画
○学生との連携プロジェクト企画第一弾~現役学生とのグループトーク
3
2013年
1月26日
川崎市 経済労働局
 葉山さん
コンテンツ産業・コミュニティビジネス・ソーシャルビジネスによる川崎市の産業振興について
2’
2012年
 10月20日
横浜市 環境創造局
 谷口さん
横浜の地産地消と農業委員会業務
2
2012年
 10月20日
西東京市市民部納税課
 古川さん
徴収の実務について
~西東京市の現状と課題~
1
2012年
 7月20日
キックオフ・ミーティング

2017年7月23日日曜日

議事メモ「群馬県大泉町における多文化共生社会の取り組みについて」 岩瀬 寿夫さん(2017.7.22)

722日の人環SCDは「群馬県大泉町における多文化共生社会の取り組み」をテーマに人間環境学部社会人学生の岩瀬さんにお話をしていただきました。
場所:市ヶ谷キャンパス BT24階人環資料室

話し手
人間環境学部3年 岩瀬寿夫さん
 岩瀬さんは2年前に群馬県大泉町を定年退職され、現在は人間環境学部に在学中の社会人学生です。
最終職場では総務部長を務められていましたが、それ以前の多くは広報と企画に所属し、様々な課題に取り組まれていました。

群馬県大泉町ってどんな町
・群馬県で一番小さい町でありゴルフ場や工業団地がある。工業団地にある主な企業は富士重工業、味の素冷凍食品、パナソニック、ハナマルキ等。総人口における外国人登録者数は16.6%と高い割合となっている。

なんで外国人が多いか
・製造品出荷額が県下市町村中全国で4位と製造業が盛んであり、労働力不足から外国人労働者を受け入れてきた。当初は不法就労外国人を雇用していたが、1989年の入管法改正と同時に日系ブラジル人を現地ブラジルから直接雇用する流れを行政が主体で作った。
直接雇用にあたっては地元の政治家に調整を依頼。大泉町では住居・家具など生活必需品をすべて揃えた。

大泉町の取り組み
①正しい情報を正しく伝える
通訳やポルトガル語の広報誌を配備。他にも日本人向け広報誌でブラジル特集を組み日本人が隣人となった外国人の背景に親しみ、理解できるように。また、ポルトガル語で日本語を教える日本語学級を小学校で開始(全国初) その後、日本語指導助手を展開。

②顔の見える関係づくり
行政と外国人町民での通訳を交えての懇談会や地域の防災講座、日本のマナー講座など。イベントを通じて相互理解が進んでいった。

③お互いに助け合う
東日本大震災時広報車による2か国語PR。日本語を読めない人も多くいる中でどのように正しい情報を伝えていくかがカギとなった。しかし、外国人アンケート調査では8割以上の方が被災者や被災地に向けて何らかの支援をしたと回答していた。

支援される立場から支援する立場へ
東日本大震災の支援活動に協力的な外国人たち。炊き出し・被災地の方を夕食に招待するなど支援活動へは積極的に参加していた。外国人は災害弱者と思われがちだが、正しい情報が得られさえすれば「要援護者」ではない。

■質問と感想とまとめ
Q入管法改正と同時にブラジルからの直接雇用を開始したがなぜブラジルだったのか?
-日系人社会で一番大きな国だったため一番効率的だった。
Q素行の悪い外国人は採用されないのでは?
-大手企業ではないところなら働き口は多い。
Q外国人を迎えいれる時に家や必需品などハード面の整備とともに、行政が主体的に行政サービス等のきめ細やかな支援ができたのはなぜか?
-当時の町のトップ2人の人柄。町長と副町長が「同じ人間としてならわかるよな?」と外国人との関係に分け隔てのない接し方をした。ヒューマニズムという言葉で表現していた。

当時 不法就労者のニュースが出るたび、町長は苦々しい思いをしていた。合法的に外国人を雇用するにあたり手厚く「町民」としてお迎えする必要があった。それが出来ていなかったら今の成功はなく社会的亀裂を生み失敗例として全国に広がっていただろうとの話。

最後に、岩瀬さんはこの町が好きで今後もこの町がどういうふうに変化していくか関心があると話されていた。岩瀬さんのご活躍を全て紹介できていないが、どれも必要なサービスを的確にとらえ、実行までのスピードが速い。そして人として正しく温かい心が感じられるものだった。




2017年5月5日金曜日

議事メモ「奥多摩での活動から見る行政」東京・森と市庭 営業部長 菅原和利さん(2017.4.22)

4月22日の人環SCDは「奥多摩での活動から見る行政」をテーマに人間環境学部卒業生の菅原さんにお話をしていただきました。
協力:法政人間環境倶楽部
場所:市ヶ谷キャンパス BT605号室

★概要
ゲストスピーカー:株式会社東京・森と市庭 営業部長 菅原和利さん
 菅原さんは人間環境学部の卒業生(2010年卒)であり、現在は奥多摩に住みながら東京の森と都市をつなげるための活動をしています。また、今回は公開ゼミとし、人環倶楽部や直前の人環セミナーでの告知もあり、十数人が参加しました。

「株式会社東京・森と市庭」
http://mori2ichiba.tokyo.jp/

■これまでの取組
・人間環境学部学生のときからサークルで奥多摩に入り浸り→就活でITベンチャーに就職が決まる→卒業前のアミタ㈱へのインターンシップを経て奥多摩で起業を決意→奥多摩で移住し働きながら事業計画を練りついに起業(地域プロダクション)→事業が軌道に乗りかけた時に家庭の事情で実家に戻ることに→地元で不動産営業マンとして奮闘→友人から奥多摩で林業の仕事をしないかと説得→現職。
・学生の時に初めて1人で奥多摩に行ったとき、地元のおじさんから言われた衝撃のヒトコト「この街は死んでいる。」「君にこの街が救えるか?」が人生を変えたと言っても過言ではないかもしれません。
◯詳しくはこちらに
http://melike.info/article/874/

■いまの仕事
◯「株式会社東京・森と市庭」の社員として、奥多摩の林業の6次産業化を進めています。
・林業の現状は非常に不安。きちんとした材木になるのに、杉は50年かかります。しかし、1haあたりの市場価格より、最初の10年を育てるコストの方が高いとか。これでは林業が産業として成り立ちません。特に仲卸や加工・流通の過程でコストがかかることが課題です。
・奥多摩の林家(林のオーナー)から「森と市庭」で調達から加工・流通まで一気通貫で行い、提携工務店やリース業によって最終消費者に提供しています。
◯サービス内容
・主にオフィス向けに奥多摩の木材を使ったリフォームやリース業。通常のフロアカーペットと同じ規格、同じように簡単に敷設できる無垢ヒノキのタイルカーペットが印象的。無垢のヒノキ張りにするのは職人が現地で加工する必要があり大変だが、これなら誰でも簡単にできます。
・保育園向けに木工の室内遊具の提供
・「木育」ワークショップなど。奥多摩に木工体験の場所を運営。ネイチャーガイドや出張のワークショップなども行っています。

 
■質問
・お話の中で、行政に対して「失敗できる環境」を求めていたが、もっと具体的に言うと?
 →小さな噂話に尾ひれがついて、変な話になって問題になったことがあった。行政の人はコミュニケーションが遠い気がする。若者やチャレンジする人にもっと近づいてやりとりしてほしい。そして、そういう人を応援して欲しい。
・10年経って奥多摩は救えてる?
 →まだ道半ば。ただ自分だけではない。10年前は奥多摩で何かやろうとする人はいなかった。今は、地ビールを作る人や、奥多摩の木で作ったカナディアンカヌーを作ってツアーをする人なども出てきた。皆で頑張っている。

■感想
・人間環境学部の人にしかわからないかもしれませんが、人環魂、人環愛を感じられるプレゼンテーションでした。直前の人環セミナーで告知したこともあり現役の学生も数人来ていましたが、非常に熱心に聞いていたのが印象的。人間環境学部らしい仕事のキャリアを考える際に、新しい選択肢を提供してくれたのではないでしょうか。



2017年1月31日火曜日

毎年恒例!学生相談会の様子(2017/1/21)

 サステイナブル地域公共政策ネットワーク(人環SCD)による、地方自治体を卒業後の進路として考えている人間環境学部の現役学生の相談会(6人)を行いました。
 相談会では、人間環境学部OBOGの現役自治体職員(6人)から、仕事のやりがい・日々の業務内容についてや、自治体の仕事をよく知る為の情報収集のアドバイス等、様々な話がされました。
 基本的には学生2とOBOG2でのトークを3セッション行いました。学生さんは全員3年生であり、試験に突破するためのテクニカルな話が気になる所。一方で、実際に自治体で働くときの”やりがい”や具体的な仕事の中身についても説明しました。
 
 <当日の様子>

2016年12月23日金曜日

次回日程と12/3の内容

20161203のSCDのメモ

■内容
ブレスト
①SCDの内容や運営でもやもやしていること(問題)
②SCDでやれたら面白そうなこと(やりたいこと)

■ポイント
・年間スケジュールを決めました。2017は添付写真のホワイトボードの写真を見て下さい。
・ブレスト結果を因果関連図みたいにまとめたのが、最後の写真です。

■次回日程
 1月21日 1部 13時開始〜15時 毎年恒例★公務員志望の学生相談会


++++++++++
★ブレストの結果の主な意見
・各会の面白さの向上
・新しい参加者が定着する対策
・スケジュールの定型化
・もっと人環的、社会的なテーマが必要
・もっとライトな会(異業種交流会とか)が必要
・発表の場やレポートなど、何か具体的な目標
・地方自治体職員になる理由やお金のこととかざっくばらんに・・

★やってみようと決めたこと
・年間スケジュールをつくる
 <2017年のテーマ:新規事業の立上げ>
 ー冬:公務員希望学生向け企画 + メンバー内の情報共有
 ー春:ゲストスピーカー会:自治体で動物政策をやるなら
 ー夏:フィールド・スタディ(候補:横須賀でのインキュベーション&シェアオフィス )
 ー秋:ゲストスピーカー会:ソーシャルビジネス
  (夏と秋は時期と場所によって変わるかも)
・会のあと、大学構内でピザパーティする(24階会議室や25階など)
・温泉合宿する(候補:小島先生が最近よく行っている山梨県小菅村) 

★他に面白そうなこと
・「ザ リアル」(仮)を書けたら面白そう(地方自治体職員が入庁後遭遇するいろいろなトラブルや問題をまとめ、それを目指す人や若手職員のための知見を与える本。それだけだと売れなそうなので、「もしドラ」みたいに地方自治体若手女子職員を主人公にしてみるとか。)
・真面目な異業種交流会。ゲストスピーカー会に色んな人と。











2016年8月25日木曜日

第17回 建築家 野田恒雄さん

<<人環SCD 第17回(2016年8月20日)>>

プレゼンター:建築家 野田恒雄さん no.d+a(number of design and architecture)
       横浜市都市整備局横浜市都市デザイン室 デザイン専門職(2014~)

店舗や舞台美術・展覧会・イベントのデザイン・ディレクションのほか、no.d+aと同年に立ち上げたTRAVELERS PROJECTにて「冷泉荘(’06.4.~’09.3.終了済)」「345project(’07.4.~’09.3.終了済)」「紺屋2023(’08.4.~’24.3.予定)」等の建物再生企画・運営を行い、書評・寄稿・講演なども行っています。(一部をno.d+a(number of design and architecture)より抜粋させていただきました。 
        
<<まとめ>>

●野田さんの行われてきた多くのプロジェクトについてと、それらを通して考えられてきたことを伺いました。

 「建築」を新築としての建物をデザインするだけではなく、建物を「再生」し、その後の新たな使い方を含めたデザインをする。野田さんの手法は「建物」のみで終わるのではなく、「場をつくる」ことに軸を置く。そのため新たなプロジェクトやデザインをする時には、その場所の歴史、風土、人々の関係性、と過去から未来において長いスパン、大きな視野で捉える。そして「創造性、持続性、多様性」といった価値が生まれることを意識している。そうしたソフトに重きを置くことは「小島ゼミ生」とも視線を同じくする部分があると感じた。

 まちはつくろうとして造っていくものではなく、そこにいる人達の意識が高ければ自然に良くなっていくものである。ただし、様々なやり方があり、大規模で財政も豊かな都市は公的に人を集めて企画していったり、自然発生的に「もっとこうだったらいいな」という発想から始まるものもある。そうしたことを踏まえて言えば、新たな関係性や、創造性が生まれていく場づくりには先述の「長いスパンと大きな視野」は大変重要なことだとわかる。

 野田さんのプロジェクトの中で「日々の挑戦を旅のように楽しむ人」であるトラベラーが交錯し、何かが起きていくことを狙った場づくりがある。そこで熟考されることは、「初期設定のデザイン」と「時間の単位を色々に区切る」ことだそうだ。
「初期設定のデザイン」というのは場の自由度であり、決め事・制約が多ければリスクは少ないが、偶発的に何かが起きていく面白さ、予想される結果を超える可能性はぐんと減ってしまう。2つ目の「時間の単位を色々に区切る」というのは、最初の目的に向かって一心に団結し邁進できても、その後同じメンバーで同じようなことを継続しているとやはり必ず停滞が出てくる。健全に変わっていく、新しい空気を常に入れていくために、関わる人達が自然に入れ替わり立ち代わりできるような仕組みを心掛けられている。

 行政の手法や関わり方は地域によって大きく異なり、活動拠点の福岡と横浜は正反対と言う程の違いがある。地域の成り立ちや住む人の気質の違いもあり、何が良い悪いと一概には言えないが、行政との関わりを通じてよりご自身のお仕事に幅と深みを持たせようとされていると感じた。


<<質疑>>

●現在の保育施設を取り巻く環境では、騒音問題があったり施設の規制も多い中で、どのような取り組み、どのような変化がもたせられると感じていますか。

→ イタリアのレッジョ・エミリアというまちの学校で実践されている教育で、数ヵ月~1年という長期でのプロジェクト活動を子どもと保育士、保護者が一体となって掘り下げていく活動をしたり、園内にアトリエや広場があり、自分で考え創造していく力を養うことに重点が置かれている。

 京都造形芸術大学の行っているこども芸術大学は教育現場で必要なスキルから、芸術方面でも専門的に学び、現場で子ども達の創造性を高めていけるようにしている。

 クラス分けだけではない時間が設けられ、様々な分野の興味があるクラスに行くことができるようにしているつくりの所もあり、そうした教育や施設に力を入れることで、地域としても独自性が出てくる可能性がある。
 
 地域の中で子どもを騒音などから隠していったり、逆に防犯でどんどん閉鎖的になっていくことは良いことではない。障がい者施設の事件でもあったように、地域の中にどれだけ多様な人が普通に生活し、触れ合う機会があるかが大事である。


●野田さんは先駆的なプロジェクトを多数行い、成功させてきていらっしゃいますが、どのように志同じくして活動するメンバーと一緒になった(集めた)のですか。古くからの友人だったのですか。

→ 古い友人ではなく、新しい人脈をどんどん作っていったことからできた仲間。「情報を集めたい、こういうことがやりたい」となった時に、それを大体自分の感で見当をつけた飲食店に行って、その話をして興味のありそうな人や、面白いことをしている方、場所を紹介してもらう。その積み重ねで人脈を増やした。また、プロジェクトをしていく中で変わっていくこともある。

●先の質問に関連して、いつも行政主催の活性化や景観についての市民会議には決まったメンバーのおじいちゃんしか大体来ない。活動しているメンバーもほぼ同じ。もっと多様な世代の人と考え、主体的・継続的に行動に移せるようにするにはどうしたら良いと思われますか。

→ 少しづつやり続けていく、可視化し続けていく、ということが重要。行政との関わりで言えば、やはり行政側が一方的に音頭をとってやっていくことではなく、「個々の暮らしを豊かにしたい、もっと良くしたい」という思いから住人がつくっていくことが望まれると思う。どのようにしたいかを主体的に考えていく機会がもっと必要ではないか。そうしたことを根底に、「横浜都市デザインビジョン」もつくられており、ワークショップも行った。

 更に、やはり幼少時からの教育として「自主的に自分のまちを考える・地域を意識する」という場が重要だと思う。


<<考察・感想>>

 個人的にずっと興味を持ち続けてきたことだったので、更に色々な切り口や見方からのお話は大変勉強になりました。まだまだ知識が足りないと感じたので、2倍速を実践したいと思います。

 人と人を交錯させ、様々な時間の単位を作り常に新しい空気を入れていくということも、とても面白いと感じましたし、それをやり続けることはやはり努力がいることだと思います。野田さんにお会いしてお話をさせて頂く中で、こうした取り組みを根気強く続け、かつ成功に導いているひとつの要因は、客観性にあるのではないかとふと感じました。

 建築家がご本業でありながら、人の交流やイベントのプロデュースにも徹するということは、とにかく客観的に冷静に見続け、分析する。かつ、ご自身もとても楽しんでいらっしゃるのだと思います。(根底から全く違ったら申し訳ありません!)
 おそらく、それは「ホームタウンが5つあります」と仰られていたこと、「それぞれに遠くの場所にいる時は、近くのことばかり考えて、あるひとつの場所がまた近くなってくると急にそちらのことを考えられるようになる。」 ということから感じたことだと思いますが、「主体的でありながら客観的な視点を常に持ち続ける」という感覚が養われているのではないかと思いました。

 ただこれは意外と行政にいる人はありそうでない発想ではないかと思います。なぜなら「できる限り地域のためになることをしよう、盛り上げよう」というスタンスが、その地方公共団体で働いているからこそ、「そう思わなければいけない、地域活動には主体的にどんどん参加しないといけない!」と感じているような気がするからです。(もしくはその部署をとにかくやり過ごそうと思っている人はそうも思いませんが)

 そうではなくて、今回の中で出た「一住民として、どう思うか、どんな風になったらもっと楽しくなるか(もし実際に住んでいなくても)」ということを一住民として主体的に、かつ、きっかけを作りプロデュースしていく側として徹底的に客観的に、でも「一緒に」取り組んでいく、というポジションなのかなぁと思いました。

 そして、どうしても行政側から見ると何でも決めておかないと済まない体質があると感じるので、いかに余白を持たせつつやっていけるか、どのようにきっかけを作るか、そしてそれをどう繋げていくかが課題だと思います。

 今後、野田さんの益々のご活躍と、人環SCDのメンバーがたくさんの楽しいプロジェクトを、公・民どちらがきっかけでも発展させていけることに希望に胸膨らませたいと思います。 どうもありがとうございました

no.d+a(number of design and architecture)
http://konya2008-2014.travelers-project.info/303-08/

●野田さんの対談がダウンロードで読めます
http://www.tarl.jp/cat_output/cat_output_art/869.html

2016年5月28日土曜日

次回は8月20日(土) 横浜市都市デザイン室 デザイン専門職 野田さん

■次回
8月20日(土) 14:00〜
プレゼンター:横浜市都市デザイン室 デザイン専門職 野田さん
テーマ:?(民間事業主としてのリノベーションまちづくりについて)

福岡でのリノベーションまちづくりや、福岡トリエンナーレに関わるプランナーで、兼務として2014年から5年の任期で横浜市でも働いています。

野田さんがいま福岡で経営しているプロジェクトがこちら
紺屋2023
http://www.travelers-project.info/japan/projects/konya2023.html

■次回の次回以降(秋の会)
案1:ワークショップ:似ている業務のメンバーで情報交換会。 
   +自分たちの所属自治体の、イノベイター公務員の発表

案2:茅ヶ崎市へフィールドワーク(漁業)

どうでしょうか??