2016年12月23日金曜日

次回日程と12/3の内容

20161203のSCDのメモ

■内容
ブレスト
①SCDの内容や運営でもやもやしていること(問題)
②SCDでやれたら面白そうなこと(やりたいこと)

■ポイント
・年間スケジュールを決めました。2017は添付写真のホワイトボードの写真を見て下さい。
・ブレスト結果を因果関連図みたいにまとめたのが、最後の写真です。

■次回日程
 1月21日 1部 13時開始〜15時 毎年恒例★公務員志望の学生相談会


++++++++++
★ブレストの結果の主な意見
・各会の面白さの向上
・新しい参加者が定着する対策
・スケジュールの定型化
・もっと人環的、社会的なテーマが必要
・もっとライトな会(異業種交流会とか)が必要
・発表の場やレポートなど、何か具体的な目標
・地方自治体職員になる理由やお金のこととかざっくばらんに・・

★やってみようと決めたこと
・年間スケジュールをつくる
 <2017年のテーマ:新規事業の立上げ>
 ー冬:公務員希望学生向け企画 + メンバー内の情報共有
 ー春:ゲストスピーカー会:自治体で動物政策をやるなら
 ー夏:フィールド・スタディ(候補:横須賀でのインキュベーション&シェアオフィス )
 ー秋:ゲストスピーカー会:ソーシャルビジネス
  (夏と秋は時期と場所によって変わるかも)
・会のあと、大学構内でピザパーティする(24階会議室や25階など)
・温泉合宿する(候補:小島先生が最近よく行っている山梨県小菅村) 

★他に面白そうなこと
・「ザ リアル」(仮)を書けたら面白そう(地方自治体職員が入庁後遭遇するいろいろなトラブルや問題をまとめ、それを目指す人や若手職員のための知見を与える本。それだけだと売れなそうなので、「もしドラ」みたいに地方自治体若手女子職員を主人公にしてみるとか。)
・真面目な異業種交流会。ゲストスピーカー会に色んな人と。











2016年8月25日木曜日

第17回 建築家 野田恒雄さん

<<人環SCD 第17回(2016年8月20日)>>

プレゼンター:建築家 野田恒雄さん no.d+a(number of design and architecture)
       横浜市都市整備局横浜市都市デザイン室 デザイン専門職(2014~)

店舗や舞台美術・展覧会・イベントのデザイン・ディレクションのほか、no.d+aと同年に立ち上げたTRAVELERS PROJECTにて「冷泉荘(’06.4.~’09.3.終了済)」「345project(’07.4.~’09.3.終了済)」「紺屋2023(’08.4.~’24.3.予定)」等の建物再生企画・運営を行い、書評・寄稿・講演なども行っています。(一部をno.d+a(number of design and architecture)より抜粋させていただきました。 
        
<<まとめ>>

●野田さんの行われてきた多くのプロジェクトについてと、それらを通して考えられてきたことを伺いました。

 「建築」を新築としての建物をデザインするだけではなく、建物を「再生」し、その後の新たな使い方を含めたデザインをする。野田さんの手法は「建物」のみで終わるのではなく、「場をつくる」ことに軸を置く。そのため新たなプロジェクトやデザインをする時には、その場所の歴史、風土、人々の関係性、と過去から未来において長いスパン、大きな視野で捉える。そして「創造性、持続性、多様性」といった価値が生まれることを意識している。そうしたソフトに重きを置くことは「小島ゼミ生」とも視線を同じくする部分があると感じた。

 まちはつくろうとして造っていくものではなく、そこにいる人達の意識が高ければ自然に良くなっていくものである。ただし、様々なやり方があり、大規模で財政も豊かな都市は公的に人を集めて企画していったり、自然発生的に「もっとこうだったらいいな」という発想から始まるものもある。そうしたことを踏まえて言えば、新たな関係性や、創造性が生まれていく場づくりには先述の「長いスパンと大きな視野」は大変重要なことだとわかる。

 野田さんのプロジェクトの中で「日々の挑戦を旅のように楽しむ人」であるトラベラーが交錯し、何かが起きていくことを狙った場づくりがある。そこで熟考されることは、「初期設定のデザイン」と「時間の単位を色々に区切る」ことだそうだ。
「初期設定のデザイン」というのは場の自由度であり、決め事・制約が多ければリスクは少ないが、偶発的に何かが起きていく面白さ、予想される結果を超える可能性はぐんと減ってしまう。2つ目の「時間の単位を色々に区切る」というのは、最初の目的に向かって一心に団結し邁進できても、その後同じメンバーで同じようなことを継続しているとやはり必ず停滞が出てくる。健全に変わっていく、新しい空気を常に入れていくために、関わる人達が自然に入れ替わり立ち代わりできるような仕組みを心掛けられている。

 行政の手法や関わり方は地域によって大きく異なり、活動拠点の福岡と横浜は正反対と言う程の違いがある。地域の成り立ちや住む人の気質の違いもあり、何が良い悪いと一概には言えないが、行政との関わりを通じてよりご自身のお仕事に幅と深みを持たせようとされていると感じた。


<<質疑>>

●現在の保育施設を取り巻く環境では、騒音問題があったり施設の規制も多い中で、どのような取り組み、どのような変化がもたせられると感じていますか。

→ イタリアのレッジョ・エミリアというまちの学校で実践されている教育で、数ヵ月~1年という長期でのプロジェクト活動を子どもと保育士、保護者が一体となって掘り下げていく活動をしたり、園内にアトリエや広場があり、自分で考え創造していく力を養うことに重点が置かれている。

 京都造形芸術大学の行っているこども芸術大学は教育現場で必要なスキルから、芸術方面でも専門的に学び、現場で子ども達の創造性を高めていけるようにしている。

 クラス分けだけではない時間が設けられ、様々な分野の興味があるクラスに行くことができるようにしているつくりの所もあり、そうした教育や施設に力を入れることで、地域としても独自性が出てくる可能性がある。
 
 地域の中で子どもを騒音などから隠していったり、逆に防犯でどんどん閉鎖的になっていくことは良いことではない。障がい者施設の事件でもあったように、地域の中にどれだけ多様な人が普通に生活し、触れ合う機会があるかが大事である。


●野田さんは先駆的なプロジェクトを多数行い、成功させてきていらっしゃいますが、どのように志同じくして活動するメンバーと一緒になった(集めた)のですか。古くからの友人だったのですか。

→ 古い友人ではなく、新しい人脈をどんどん作っていったことからできた仲間。「情報を集めたい、こういうことがやりたい」となった時に、それを大体自分の感で見当をつけた飲食店に行って、その話をして興味のありそうな人や、面白いことをしている方、場所を紹介してもらう。その積み重ねで人脈を増やした。また、プロジェクトをしていく中で変わっていくこともある。

●先の質問に関連して、いつも行政主催の活性化や景観についての市民会議には決まったメンバーのおじいちゃんしか大体来ない。活動しているメンバーもほぼ同じ。もっと多様な世代の人と考え、主体的・継続的に行動に移せるようにするにはどうしたら良いと思われますか。

→ 少しづつやり続けていく、可視化し続けていく、ということが重要。行政との関わりで言えば、やはり行政側が一方的に音頭をとってやっていくことではなく、「個々の暮らしを豊かにしたい、もっと良くしたい」という思いから住人がつくっていくことが望まれると思う。どのようにしたいかを主体的に考えていく機会がもっと必要ではないか。そうしたことを根底に、「横浜都市デザインビジョン」もつくられており、ワークショップも行った。

 更に、やはり幼少時からの教育として「自主的に自分のまちを考える・地域を意識する」という場が重要だと思う。


<<考察・感想>>

 個人的にずっと興味を持ち続けてきたことだったので、更に色々な切り口や見方からのお話は大変勉強になりました。まだまだ知識が足りないと感じたので、2倍速を実践したいと思います。

 人と人を交錯させ、様々な時間の単位を作り常に新しい空気を入れていくということも、とても面白いと感じましたし、それをやり続けることはやはり努力がいることだと思います。野田さんにお会いしてお話をさせて頂く中で、こうした取り組みを根気強く続け、かつ成功に導いているひとつの要因は、客観性にあるのではないかとふと感じました。

 建築家がご本業でありながら、人の交流やイベントのプロデュースにも徹するということは、とにかく客観的に冷静に見続け、分析する。かつ、ご自身もとても楽しんでいらっしゃるのだと思います。(根底から全く違ったら申し訳ありません!)
 おそらく、それは「ホームタウンが5つあります」と仰られていたこと、「それぞれに遠くの場所にいる時は、近くのことばかり考えて、あるひとつの場所がまた近くなってくると急にそちらのことを考えられるようになる。」 ということから感じたことだと思いますが、「主体的でありながら客観的な視点を常に持ち続ける」という感覚が養われているのではないかと思いました。

 ただこれは意外と行政にいる人はありそうでない発想ではないかと思います。なぜなら「できる限り地域のためになることをしよう、盛り上げよう」というスタンスが、その地方公共団体で働いているからこそ、「そう思わなければいけない、地域活動には主体的にどんどん参加しないといけない!」と感じているような気がするからです。(もしくはその部署をとにかくやり過ごそうと思っている人はそうも思いませんが)

 そうではなくて、今回の中で出た「一住民として、どう思うか、どんな風になったらもっと楽しくなるか(もし実際に住んでいなくても)」ということを一住民として主体的に、かつ、きっかけを作りプロデュースしていく側として徹底的に客観的に、でも「一緒に」取り組んでいく、というポジションなのかなぁと思いました。

 そして、どうしても行政側から見ると何でも決めておかないと済まない体質があると感じるので、いかに余白を持たせつつやっていけるか、どのようにきっかけを作るか、そしてそれをどう繋げていくかが課題だと思います。

 今後、野田さんの益々のご活躍と、人環SCDのメンバーがたくさんの楽しいプロジェクトを、公・民どちらがきっかけでも発展させていけることに希望に胸膨らませたいと思います。 どうもありがとうございました

no.d+a(number of design and architecture)
http://konya2008-2014.travelers-project.info/303-08/

●野田さんの対談がダウンロードで読めます
http://www.tarl.jp/cat_output/cat_output_art/869.html

2016年5月28日土曜日

次回は8月20日(土) 横浜市都市デザイン室 デザイン専門職 野田さん

■次回
8月20日(土) 14:00〜
プレゼンター:横浜市都市デザイン室 デザイン専門職 野田さん
テーマ:?(民間事業主としてのリノベーションまちづくりについて)

福岡でのリノベーションまちづくりや、福岡トリエンナーレに関わるプランナーで、兼務として2014年から5年の任期で横浜市でも働いています。

野田さんがいま福岡で経営しているプロジェクトがこちら
紺屋2023
http://www.travelers-project.info/japan/projects/konya2023.html

■次回の次回以降(秋の会)
案1:ワークショップ:似ている業務のメンバーで情報交換会。 
   +自分たちの所属自治体の、イノベイター公務員の発表

案2:茅ヶ崎市へフィールドワーク(漁業)

どうでしょうか??

第16回人環SCD議事メモと感想

<<人環SCD 第16回議事メモ(2016年5月21日)>>

プレゼンター
相模原市環境経済局 産業政策課 渡辺誠治課長
(企業支援の極意)
民間企業で営業の仕事をした後、相模原市に転職(主に経済畑で、農業振興⇢産業振興)


●感想
 農業振興の話は、横浜で地産地消に関わる人間としては個人的に非常に面白かった。相模原の特産である大和芋のブランド化で、せっかく利益が出る特産品があるのに知られていないというギャップにたいして、生産だけでなく流通の体制を整えていて、どう売るか、から逆算してスーパーと農家さんに話を通しているところがポイントなのかなと。
 そこは、環境部局にあって農地の保全に力点がある横浜市の農政とは違うところで、横浜市においては経済的な観点・どう売るか、どう流通まで力を入れられるかは考えていけないところだと思いました。

 何をやるべきか、どうやって思いついているかという質問への回答が印象的でした。相模原市の中小企業向けのロボット導入支援については、解決すべき問題は企業の方と日々話していれば出てくるわけで、それをどう解消させるかは新聞や世の中の動きを見ていれば思いつくものだと。
 あとは組織の中でやりたいことを上手く通すために、予算などの”どうやるか”まで説明できることや、飲み会などの寝技などをうまく使い分けているのだなぁと感じました。
 とはいえ、後日の渡辺さんからのお礼メールでコメントされていたことも印象的でした。いわく、渡辺さんの若いころは予算取りまでやれていたが、私達の世代は予算減少が通常で予算取りややるべきことを考える機会が少ない…。なるほど。


以下、議事メモです。

◯さがみはら野菜の流通支援とブランド化
・相模原は大和芋が特産。換金性が高い野菜で農家さんとしても価値あり。
 しかし、一般市民はどこで買うかわからないという課題があった。
 ⇢農協と県普及員と渡辺さんで戦略を練り、市内の農家さんに生産体制を増やすお願いをしつつ、イトーヨーカドーで売ってもらうようにし、市の広報誌で告知をした。
 ⇢⇢結果、イトーヨーカドーで2kg2500円で販売したら、ドカ売れした。

・直売でなく、”直農”:個人直売所ではなく、複合の販売拠点を整備する。
 ⇢個人直売所は、小さな単位では品数が少なくて人が来ず、店に立つ時間もかかるし、近隣に直売所があれば共食いの可能性がある。
 ⇢共同直売で、自分の強みの野菜を生産販売した方が、強いところで売れるから良いのでないか。品目が多いと生産性が下がる可能性もあるし、時間もかかる。
 ⇢⇢イトーヨーカドーなど(スーパー)での販売をコーディネート
 最初は店の通路でワゴンで、農家さんが立って販売していた
 渡辺さんたちが店に交渉し、15%の利ざやで買い取ってくれた。(⇢通常は6がけである。今は20%。20%が店の取り分。)
 ⇢⇢ポイントは買取制であるこ。横浜のJA直売所と違って農家さんが夕方に売れ残り品を取りに行く必要はない。
 

◯さがみの潤水:ナチュラルウォーター(写真)
 ⇢500mlのペットボトル入りの水を、市内中小企業がボトリングすることで、塩素を全く入れていない”ナチュラルウォーター”と名称を出せる。大企業にボトリングを委託すると一本あたりのコストが100円を超え、遠くに運ぶために塩素も入れる必要があるから。
 ⇢さがみの潤水という名称について、名称を決める際に公募で行った。これは商標登録で問題があるかもなので、3つに案を絞って市民イベントで投票した。
 ⇢デザイン料が足りないため、デザイン事務所や美大でなく普通の女子大と組む工夫をした。

”さがみの潤水”
https://umaimizu.wordpress.com/


◯地元の中小企業との話の中で必要性を感じたロボット導入策。
⇢相模原は企業の生産高が減少し続けており、その打開策の一つとして、中小企業向けにロボット導入の支援をしている
 ⇢市内企業の課題として人手不足や海外に仕事がとられていくことがある。この対策として中小企業にロボットの導入が必要ではないか、ということからロボットセンターを造った。
  ⇢一般的には、ロボットのサプライメーカーは中小企業を相手にしてくれない。理由は、ロットの少なさの割に、カスタマイズの手間が大企業と変わらないため、コスパの悪い中小を相手にしてくれない。
  ⇢ロボット導入の支援をSIC(相模原インキュベーションセンター)で行っており、ロボット導入のコンサルティングをしている。

”さがみはらロボット導入支援センター”
http://www.sic-sagamihara.jp/robot/


●質問
・仕事をしていく中で、自分がやりたいと思うことに対して、上司が反対している場合、どうそれをうまく通すのか
 ⇢熱意よりも戦略。反対されても説得できるよう、予算など理論的に固めていくことが大事。

・様々なプロジェクトを進めるとき、職場の仲間や部下は同じモチベーションで仕事に取り組んでくれるのか?また、そうさせる秘訣は?
 ⇢人によって様々だが、今までは協力的な人が多い。また、同課の職員は個性が強く動物園のよう。職場の仲間とはよく飲みに行き風通しの良い状態を保っている。

2016年2月2日火曜日

【次回】5月21日 15時〜になります。3月12日にランチミーティングを実施。

3点連絡です!
① 次回は5月21日の土曜日 15時〜です! プレゼンターは未定。幹事は亀村さんです(欠席裁判)
② 次回以降何をやるのか。どんなことを聞いたらワクワクするか。誰を呼びたいか。3月12日、13時からランチ持参でブレストします。来れる方は来てください〜
③ メーリングリストと併用で、LINEのグループを新規で登録したのでみなさん使っていきましょう!
メーリスでURLを貼って登録・・などのやり方を知らないので、現在グループに入っている人からジワジワ追加していきたいと。みなさまよろしくお願いします!または、谷口までご連絡下さい。 
(現在の加入者:古川、嘉山、赤穂、築沢、岩渕、亀村、知久、谷口)

第15回人環SCD議事メモと感想




開催日:2016年1月30日(土) 15:00~17:00
場所:人間環境学部会議室
参加者:竹内、古川、嘉山、谷口、岩渕、築沢、櫻井
発表者:国土交通省 国土交通政策研究所 小岩(小田急電鉄)
テーマ:地域公共交通確保維持に向けた課題(バス事業を中心に)

■まとめ
・小岩さんは、小田急電鉄に入社後、主に本部で旅客分析とそれを元にしたダイヤ改正などを従事していた。2015年7月に国交省から出向の要請があり、国交省 国土交通政策研究所に2年間勤めることになる。
 地方都市の生活の足になるバス事業者とその自治体に問題があると分析している。赤字事業者が7割を超えその補填を行政が行っていること、バス事業者は、旅客分析データをとっていてもきちんと分析できていないこと、自治体の交通政策担当者がすぐに異動し、非専門的であることを挙げている。
・このため、旅客データの一つ、ODデータ(各停留所の相互発着データ)をきちんと分析し、本当にどこで人が乗り、降りているかを分析してダイヤや路線、停留所の見直しをしていく必要があるという。
・旅客流動データをとり、それをきちんと分析することで、本当に必要な時間や場所のためにバス停やダイヤを変えることができるはず。また、ITシステムの高度化が必要になっていく。例えば交通系ICカードの中小事業者でも利用促進や、バスが近づくと信号が青になるシステムなどである。
・さらに地方ではコミュニティバスでなく、デマンド型バスという予約制のバスが集落の方の足になっているが、自治体としては簡単に地域のニーズを満たせられるが、赤字を垂れ流す傾向にあることも注意。


★質疑
・地域公共交通網形成計画と、自治体とのまちづくりの実例は?
 →計画ではないが、新潟市でターミナルの見直しで現在やっている
  京都市は自前で地下鉄などを持っているため、サインの見直しなどで先駆的。
   岐阜市も面白いことをやっている(地域の足)
・観光地への交通問題は?
 →小岩さんとしては、生活の移動手段がメインなので、観光まではカバーできていない。

・都市マスタープランの策定にあたって、いわゆる駅を中心としたバスなどによる拠点型ネットワークを実現させていくためのポイントは何か?
 →自治体と交通事業者との普段からの話し合いの場があるか。そこが肝心。
  (事業者、自治体双方でやってほしいことがあるはず)

・NPOがコミュニティバスを運営するが、緑ナンバー(業務用)が取れないので採算が難しい。(NPOがやる場合は、デマンド型では有償でできるが、定期運行のコミュニティバスは有償はできない。)
 →有償、無償の分けは非常に難しい。デマンド型のバスは有償でもできるが、定期運行のコミュニティバスは、NPOが事業者なら有償にできないという制度になっている。採算の問題も、現実的には山間部のコミュニティバスの場合、山道なので、事故のリスクが高い。(地域の足としてコミュニティバスを使い過ぎると、タクシー事業者の仕事をとってしまう問題もあり。少ないパイを争ってしまう。:小島先生)

・アメリカ発祥の「ウーパー」といった配車アプリの可能性は? 
 →ウーパーについては、食い止められない。今後広まっていくが、事故が起きた時に責任問題が出てくるのではないか。(責任は、NPOが実施するバス事業でも同じ。山間部を走るバスの場合は余計リスクが高い)
 
・自治体で地域交通政策を担う人材が明らかに少ないと指摘があった。確かに3年で移動するゼネラリスト職員では難しいので、専任職員が必要だろう。小田急電鉄と自治体の相互人事交流などはある?
 →小田急も相模原市とやっている。
 →小田急は受け入れはやっているが、出すことはしていない

・ODデータ(各停留所の相互発着データ)のオープンデータ化や、旅客分析データのODデータ等を見える化するシステムを大手ITベンダーは作っているのか?( 赤字補填を自治体がするのなら、その見返りに旅客分析データを事業者が自治体に開示することはできるのだろうか:小島先生 →バス事業者の赤字を補填するときに損益計算書は出す必要があるが、ODデータなどは出す必要が無い。)
 →システムはわからないが、ODデータは現状ではオープンにするものではないだろう。大手はなかなか出さないだろうが、競合がいない地方の事業者は出せるかもしれない。見える化ができて、その分析を事業者と自治体が話し合いのツールに使えたらいい
 → ODデータなどの旅客分析データの開示については、今は自治体が求めていないが、求めれば開示するだろう。自治体がそれをどんどん求めてほしい。
 
・東京の多摩地区など、複数の自治体にまたがって駅とバスターミナルがある場合、自治体ごとに計画をつくるよりは、広域連合で作ったほうがよいのではないだろうか
 →大事な質問。ただし、国交省も東京圏と地方では所管課が違い、考え方が少し違うようだ。

★小岩さんの中の疑問
 →交通について国の中では、物流が熱い。今はICTもありAmazonやテレワーク、地方でネットを介して仕事をする人も増えている。どこまで地域公共交通がカバーすべきなのか、どこまで必要なのか?
  →生活をしていくなかで移動の権利が大事。生活の中で病院や買い物に行けなくて日常に支障が出てくる。地域の足をどう維持していくのかが問題。(小島先生)

■質疑応答を受けての個人的な感想
 日本とヨーロッパの地域交通は根底から考え方が違うなと。ヨーロッパの都市では、地下鉄、バスと、路面電車が同一事業体で、一つの切符で乗り換え自由なんてことが多い。ヨーロッパは自治体が管理しているケースが多く、日本は自治体単位の鉄道というよりは、交通は民間。という分けが強い気がする。それについては「移動できる権利」というのがヨーロッパには強くあり、税金を沢山投入してもきちんと移動できる状態にすべき・・という背景があるのだと教わりました。
 そして、日本の地域交通にとっては今がパラダイムシフトの時なのだと。人口増加を前提としてきた過去の時代は、分析をしなくてもバスに乗る人は増えてきました。そんな民間事業者に自治体も任せっきりでした。これからの人口減少社会では、事業者がデータをきちんと分析すること、自治体が事業者と一体で地域の交通政策を作らないと地域の足が崩壊しかねないのだとの指摘にドキッとします。地域の交通は自治体と事業者の連携にかかっているなら、自治体の地域交通政策は地域の事業者と気軽に情報共有できる体制を整えることや、専門の職員を置くことが必要なのではないか…と熟考。
 『正しい判断は、正しい情報と正しい分析の上に初めて成立する 』という言葉を思い出しながら、熱いトークで火照った頭を冷ました土曜日の夜となりました。

2016年1月17日日曜日

次回は 1月30日(土) 13時〜17時

次回の人環SCDについてご連絡させていただきます。

> ◆日時
> 1月30日(土) 13時〜17時

> ◆場所
> BT24階 人環資料室

> ◆内容
1部 公務員志望の学生へ向けた懇親会
13:30〜15:00 頃
この時期恒例の懇親会です。ワールドカフェ形式で相談にものります。
小島先生が小島ゼミ意外の学生にも声をかけて下さってます。

2部 国土交通省 国土交通政策研究所
小岩 弘樹さんによる講義
15:30〜17:00 頃
小岩さんは小島ゼミ一期生の方で、小田急所属ですが、現在は国交省へ出向しています。

日時と内容のご連絡だけ取り急ぎさせていただきました。追加で連絡ある場合は追ってご連絡いたします!