2016年2月2日火曜日

【次回】5月21日 15時〜になります。3月12日にランチミーティングを実施。

3点連絡です!
① 次回は5月21日の土曜日 15時〜です! プレゼンターは未定。幹事は亀村さんです(欠席裁判)
② 次回以降何をやるのか。どんなことを聞いたらワクワクするか。誰を呼びたいか。3月12日、13時からランチ持参でブレストします。来れる方は来てください〜
③ メーリングリストと併用で、LINEのグループを新規で登録したのでみなさん使っていきましょう!
メーリスでURLを貼って登録・・などのやり方を知らないので、現在グループに入っている人からジワジワ追加していきたいと。みなさまよろしくお願いします!または、谷口までご連絡下さい。 
(現在の加入者:古川、嘉山、赤穂、築沢、岩渕、亀村、知久、谷口)

第15回人環SCD議事メモと感想




開催日:2016年1月30日(土) 15:00~17:00
場所:人間環境学部会議室
参加者:竹内、古川、嘉山、谷口、岩渕、築沢、櫻井
発表者:国土交通省 国土交通政策研究所 小岩(小田急電鉄)
テーマ:地域公共交通確保維持に向けた課題(バス事業を中心に)

■まとめ
・小岩さんは、小田急電鉄に入社後、主に本部で旅客分析とそれを元にしたダイヤ改正などを従事していた。2015年7月に国交省から出向の要請があり、国交省 国土交通政策研究所に2年間勤めることになる。
 地方都市の生活の足になるバス事業者とその自治体に問題があると分析している。赤字事業者が7割を超えその補填を行政が行っていること、バス事業者は、旅客分析データをとっていてもきちんと分析できていないこと、自治体の交通政策担当者がすぐに異動し、非専門的であることを挙げている。
・このため、旅客データの一つ、ODデータ(各停留所の相互発着データ)をきちんと分析し、本当にどこで人が乗り、降りているかを分析してダイヤや路線、停留所の見直しをしていく必要があるという。
・旅客流動データをとり、それをきちんと分析することで、本当に必要な時間や場所のためにバス停やダイヤを変えることができるはず。また、ITシステムの高度化が必要になっていく。例えば交通系ICカードの中小事業者でも利用促進や、バスが近づくと信号が青になるシステムなどである。
・さらに地方ではコミュニティバスでなく、デマンド型バスという予約制のバスが集落の方の足になっているが、自治体としては簡単に地域のニーズを満たせられるが、赤字を垂れ流す傾向にあることも注意。


★質疑
・地域公共交通網形成計画と、自治体とのまちづくりの実例は?
 →計画ではないが、新潟市でターミナルの見直しで現在やっている
  京都市は自前で地下鉄などを持っているため、サインの見直しなどで先駆的。
   岐阜市も面白いことをやっている(地域の足)
・観光地への交通問題は?
 →小岩さんとしては、生活の移動手段がメインなので、観光まではカバーできていない。

・都市マスタープランの策定にあたって、いわゆる駅を中心としたバスなどによる拠点型ネットワークを実現させていくためのポイントは何か?
 →自治体と交通事業者との普段からの話し合いの場があるか。そこが肝心。
  (事業者、自治体双方でやってほしいことがあるはず)

・NPOがコミュニティバスを運営するが、緑ナンバー(業務用)が取れないので採算が難しい。(NPOがやる場合は、デマンド型では有償でできるが、定期運行のコミュニティバスは有償はできない。)
 →有償、無償の分けは非常に難しい。デマンド型のバスは有償でもできるが、定期運行のコミュニティバスは、NPOが事業者なら有償にできないという制度になっている。採算の問題も、現実的には山間部のコミュニティバスの場合、山道なので、事故のリスクが高い。(地域の足としてコミュニティバスを使い過ぎると、タクシー事業者の仕事をとってしまう問題もあり。少ないパイを争ってしまう。:小島先生)

・アメリカ発祥の「ウーパー」といった配車アプリの可能性は? 
 →ウーパーについては、食い止められない。今後広まっていくが、事故が起きた時に責任問題が出てくるのではないか。(責任は、NPOが実施するバス事業でも同じ。山間部を走るバスの場合は余計リスクが高い)
 
・自治体で地域交通政策を担う人材が明らかに少ないと指摘があった。確かに3年で移動するゼネラリスト職員では難しいので、専任職員が必要だろう。小田急電鉄と自治体の相互人事交流などはある?
 →小田急も相模原市とやっている。
 →小田急は受け入れはやっているが、出すことはしていない

・ODデータ(各停留所の相互発着データ)のオープンデータ化や、旅客分析データのODデータ等を見える化するシステムを大手ITベンダーは作っているのか?( 赤字補填を自治体がするのなら、その見返りに旅客分析データを事業者が自治体に開示することはできるのだろうか:小島先生 →バス事業者の赤字を補填するときに損益計算書は出す必要があるが、ODデータなどは出す必要が無い。)
 →システムはわからないが、ODデータは現状ではオープンにするものではないだろう。大手はなかなか出さないだろうが、競合がいない地方の事業者は出せるかもしれない。見える化ができて、その分析を事業者と自治体が話し合いのツールに使えたらいい
 → ODデータなどの旅客分析データの開示については、今は自治体が求めていないが、求めれば開示するだろう。自治体がそれをどんどん求めてほしい。
 
・東京の多摩地区など、複数の自治体にまたがって駅とバスターミナルがある場合、自治体ごとに計画をつくるよりは、広域連合で作ったほうがよいのではないだろうか
 →大事な質問。ただし、国交省も東京圏と地方では所管課が違い、考え方が少し違うようだ。

★小岩さんの中の疑問
 →交通について国の中では、物流が熱い。今はICTもありAmazonやテレワーク、地方でネットを介して仕事をする人も増えている。どこまで地域公共交通がカバーすべきなのか、どこまで必要なのか?
  →生活をしていくなかで移動の権利が大事。生活の中で病院や買い物に行けなくて日常に支障が出てくる。地域の足をどう維持していくのかが問題。(小島先生)

■質疑応答を受けての個人的な感想
 日本とヨーロッパの地域交通は根底から考え方が違うなと。ヨーロッパの都市では、地下鉄、バスと、路面電車が同一事業体で、一つの切符で乗り換え自由なんてことが多い。ヨーロッパは自治体が管理しているケースが多く、日本は自治体単位の鉄道というよりは、交通は民間。という分けが強い気がする。それについては「移動できる権利」というのがヨーロッパには強くあり、税金を沢山投入してもきちんと移動できる状態にすべき・・という背景があるのだと教わりました。
 そして、日本の地域交通にとっては今がパラダイムシフトの時なのだと。人口増加を前提としてきた過去の時代は、分析をしなくてもバスに乗る人は増えてきました。そんな民間事業者に自治体も任せっきりでした。これからの人口減少社会では、事業者がデータをきちんと分析すること、自治体が事業者と一体で地域の交通政策を作らないと地域の足が崩壊しかねないのだとの指摘にドキッとします。地域の交通は自治体と事業者の連携にかかっているなら、自治体の地域交通政策は地域の事業者と気軽に情報共有できる体制を整えることや、専門の職員を置くことが必要なのではないか…と熟考。
 『正しい判断は、正しい情報と正しい分析の上に初めて成立する 』という言葉を思い出しながら、熱いトークで火照った頭を冷ました土曜日の夜となりました。